会社概要
条件
麹室は、寒冷期も室温を30℃前後に保温する為、断熱構造を施し、暖房設備を備え、製麹中に発生する二酸化炭素、及び湿気を排出する換気設備を設置する。又、蒸米の引き込み及び出麹の作業性が良好で、適度な広さを有し、乾湿差の調整が容易である事が望まれる。
構造
以前の麹室は、蓋麹法、箱麹法、床麹法、機械麹法のいずれを採用するかによっても異なるが全て1部屋による製麹である。近年構造的にも見直され、床室、棚室、出麹室と部屋単位に分ける構造が一般的になりつつある。その要因として部屋ごとに使用温度を分け、1個の制御盤にて部屋単位に温度調節が可能になったことが上げられる。

熱源
従来の麹室の熱源として温床線が一般的であった。麹室では、温床線を空中配線すると、高温域での発火の危険性が懸念される。最近では、プレートヒーターの開発により、高温域での安定的な使用が可能となり、多くの麹室に導入されている。
材料
麹造りと杉には、密接な関係がある。一般的に、麹室で使用する箱・蓋・床は、杉を材料とする。杉板の有する柔らかく軽い性質、そして呼吸作用が、麹室内の高温多湿な環境の改善、即ち乾湿差の調節、及び結露防止を行う。
醸造業界では、昔ながらの手造りに依る製麹が伝承されると同様に、建築業界に於いても、伝統技を受け継いだ大工職人が、杉の性質を熟知した上で、麹室を建造する。
断熱材
床、天井、壁を断熱構造とする。昭和30年頃まで、籾殻・藁の踏込みに依り保温していたが断熱効果が低く、その以降は下表の断熱材、特にグラスウールが広く使用される。

断熱材 製法
グラスウール ガラスを羊毛の如く宿れさせ、フェルト状とする
発泡スチロール ポリスチレンの発泡処理し、膨化させる
ポリウレタンフォーム ポリウレタン調製時に水やフレオンを使用する
入口
従来の製麹室の入口には、前室(外気への直接接触を避ける為、麹室の入口に設けた小部屋)がある。然し、新設及び改修した製麹室には、構造上の問題が有る場合を除き、前室を設置しない。その理由は、プレートヒーターによる熱源性能の向上、グラスウールによる断熱性能の向上、引戸及び出入口扉の保温性能の向上、蝶番の特殊金具(ジャミソン式)による気密性の向上等がある。
換気
製麹室内では大量の水分が蒸米から蒸発し、換気しなければ室内に結露を生ずる。換気設備として、天井にシャッター付給気口・排気口を設ける他、室内外の温度差、更には給気筒・排気筒の高低差を利用した自然換気、或いは排気口のみに換気扇を用いた第3種機械換気を設けるが、一般的には自然換気方式が採用されている。又、麹室の各隅を湾曲構造とし、効率的な換気を可能としている。

シャッター付給気口・排気口
株式会社日東工業所 日本のすみずみまで麹室つくり45年
(C) 2004 All Rights Reserved.