幻想御伽噺〜TIME DIVER PRINCESS〜 1幕「夢を叶えてファンタジー」 水瀬真悟: 月宮良子: ブリジット・アンダーソン: 先生: ナレーション: 真悟:俺は子供の頃から御伽話が大好きだった。    …現実とは違う世界。異世界ってもんにすっげー憧れてた。    テストや、親の束縛の無い自由な世界。    …多分、人は多かれ少なかれ、そういう世界に憧れている…と思う。 ブリジット:シンゴ!シンゴっ!!死ぬんじゃないわよ!! 真悟:はは…馬鹿みたいな話だな。    夢が叶ったと思ったら…すぐに死んじまうなんて…。 OP「Passion Navigatinon(豊口めぐみ)」 真悟:幻想御伽噺〜TIME DIVER PRINCESS〜1幕「夢を叶えてファンタジー」 ナレ:きーんこーんかーんこーん、とチャイムが鳴り響く。 先生:本日の授業はここまで。テストも近い、きちんと復習しておけよ! 真悟:ぐー…。 先生:今日やった範囲はセンター試験にも頻出の部分だ。    ここさえ抑えておけば…。 真悟:ぐー…。 先生:…水瀬。 真悟:ぐー…。 先生:水瀬ぇえ!! 真悟:ふぁっふぁい!水瀬真悟、15番!起きてますであります中尉殿! 先生:誰が中尉殿だ!!後で職員室に来いっ!!! 真悟:げっ、マジすか! 先生:当たり前だ!! ナレ:そういい残して教室を出て行く先生。    うなだれている真悟に、一人の女の子が話しかける。 涼子:いつもの展開ね。 真悟:簡単に言ってくれるけどな…俺だって寝たくて寝てるわけじゃねぇんだって! 涼子:ま、男の子には色々あるからね。 真悟:…なんか引っかかる言い方だな。 涼子:別に。はい、今日の分のノート。    今日は職員会議があるから帰るの遅くなると思うよー。    どうせお説教は会議の後なんだろうし。 真悟:ぐっは…マジかよ。それじゃそれまでにノート写しちまわないと…。 涼子:終わったら私のロッカーに入れといて。    …体操着とか盗まないでよ? 真悟:その手の店に売ったろか。 涼子:あはは!それじゃね! 真悟:おう、サンキュな。 ナレ:軽くウインクして教室を出て行く涼子。    真悟はそれを見送ると、すぐにノートをカバンから取り出し、シャーペンを握る。 真悟M:さて…がんばるか。 ナレ:かりかりかり…と無機質な音が教室に響く。 真悟M:相変わらず丸っこい字だ…。    …借りてる分際で文句はいえないけどな…。    親父とお袋が死んでからはあいつに迷惑かけっぱなしだし…なんか後でお礼しないとなぁ…。 ナレ:6年前、真悟は交通事故で両親を亡くしていた。    それ故に、今は一人暮らしをしている。 真悟M:いくら家事が忙しいたって、勉強しないいいわけにはならないのが辛いとこだな…。    まぁ、大学に行くわけじゃないし、落第しない程度にしておきゃ大丈夫だろ。 ナレ:借りたノートを全て写し終わった頃には、すでに6時半をまわっていた。 真悟:うっわ、もうこんな時間かよ!ったく…。 ナレ:その時、先生が教室のドアを開ける。 先生:おい、水瀬。今日はもう帰っていいぞ。 真悟:へ? 先生:見たところ今までキチンと勉強していたようだしな。    …授業中もそれくらい真面目にやってもらえるとありがたいのだが。 真悟:ははっ…努力します。 先生:気をつけて帰れよ。最近変な事件も多発してるしな。 真悟:あぁ…神隠しとかなんとかって奴ですね。 先生:大方誘拐か何かなのだろうが…。まぁお前なら大丈夫か。 真悟:いやぁ、わかりませんよ?俺、魅力に溢れてますから。 先生:それじゃ知力も一緒につけてくれ。それじゃあな。 真悟:さよなら〜っす。 ナレ:教室を出て行く先生。    真悟は荷物をカバンに叩き込み、教室を出る。 真悟:うわぁ…もう真っ暗じゃねぇかよ…。 ナレ:冬の日の入りの速さを呪いながら人通りの少ない帰り道を歩く。 真悟:なんかあれだよな、漫画とかだとこういう夜って…変な化け物が出たりするんだよな…。    この辺田舎だし…。 ナレ:心細さを紛らわせようと、大声で独り言を話す真悟。 真悟:…ははっ!まさかな!御伽話じゃあるまいし…。 ブリジット:…っきゃぁあああああ!!! 真悟:へっ? ナレ:真悟は自分の上から急に聴こえてきた悲鳴に驚き、上を向く。 真悟:って、うわぁああ!!! ナレ:どしん、と「何か」が真悟の上に落ちる。 ブリジット:いたたた…何なんだよ、もう…。 真悟:そ、そりゃこっちの台詞だ…何だよあんた!急に人の上に降って来て!! ブリジット:ん?誰、あんた? 真悟:それもこっちの台詞!! ブリジット:あっちゃー…もしかして異世界に繋がっちゃったのかな…ゲート。 真悟;おーい…。 ブリジット:まぁいいわ。私はブリジット。ブリジット・アンダーソンよ。あんたは? 真悟:外人さんかよ…参ったな、俺英語話せないぞ。 ブリジット:ちょいちょい。現に今しゃべってるでしょーが。 真悟:おう、言われて見ればそうだ。 ブリジット:で、あんたの名前は? 真悟:水瀬真悟。…って、いかにも怪しいこんな人に本名名乗っていいのか、俺…。 ブリジット:シンゴね。…じゃ、最初に言っておくわ、シンゴ。 真悟:何? ブリジット:…ごめんね? 真悟:は? ナレ:その瞬間、上からさらにどしん、と何か重い物体が降ってくる。 ブリジット:きたわね…。 真悟:な、何、何? ナレ:夜ということもあり、良くは見えないが、何かの巨大生き物ということだけは理解できた真悟。    しかし、こんなところに象などいるわけがない。    …無論、それ相当の大きさの動物も。 ブリジット:あー…そうね、俗に言うドラゴンって奴なんだけど…わかる? 真悟:ドラゴンんん!?あの、火を吹いたりする奴かよ!? ブリジット:おー、よく知ってるじゃない。 真悟:…夢、じゃないよな? ブリジット:残念ながら。 真悟:…ははっ…はははははは! ナレ:突然笑い出した真悟にぎょっとするブリジット。 ブリジット:な、何?壊れちゃったんじゃないでしょうね? 真悟:凄ぇ…凄ぇよ!俺、今ファンタジーしてるよ!    ゲームでもありきたりな展開だけど…俺が許す! ブリジット:…何が言いたいのかよくわからないけど、とりあえず下がってなさい。       …来るわよ! ナレ:ブリジットの言葉と同時に、口から火球を発射するドラゴン。    ブリジットはかろうじてそれを回避するが、その火球は後の民家に直撃する。 真悟:なっ…おい!火事になっちまったぞ!!! ブリジット:くっ…ここで戦ったら関係無い人まで巻き込んじゃうわっ!       …シンゴ!悪いんだけど、ドラゴンの気をひきつけてくれる!? 真悟:はぁっ!? ブリジット:これをあげるわ!それで何とかして頂戴! ナレ:そういってブリジットは真悟に首にかけてあったアクセサリーを投げつける。 真悟:おい、こんなもんでどうしろってんだよ! ブリジット:念じなさい!今自分が何を必要としているのかを!       心に強く念じたものを、それが実体化してくれるわ!! 真悟:おいおい…マジでファンタジーだな…。 ブリジット:早く!でないとアンタも私も食われちゃうわよ!! 真悟:あんたはどうすんだ!? ブリジット:呪文の詠唱に入るわ!! 真悟:わかったよ、やりゃいいんだろ!?やったらぁ! ナレ:そういって、ドラゴンの目の前に走り出す真悟。 真悟:おらおら、ドラゴン野郎!こっち向きなぁ!! ナレ:真悟の言葉に反応したのか、真悟を睨みつけるドラゴン。    そして、再び先ほどと同じように口を開ける。 真悟M:また火球か!!…守るんだ…守る…守る…守る!     俺を、俺の町をぉおお!! ナレ:火球が発射される。 真悟:うぉりゃぁああ!!!! ナレ:真悟の掛け声と共に、アクセサリーが淡い緑色に発光しだす。    そして、巨大な『盾』とその光は形を変え、真悟を守る。 真悟:すっげ…。 ブリジット:よくやったよ、シンゴ!!それじゃ、伏せてなっ!!       強制転送魔法、トランスポート!! ナレ:ブリジットが両手を前に差し出すと、ドラゴンが宙に浮く。 真悟:うわぁ…。 ブリジット:それじゃ、世話かけたね!!もう会うことも無いだろうけど、元気で…。 ナレ:ブリジットがそういいかけた時、ドラゴンが自らの爪を真悟へ向けて投げつける。 真悟:えっ? ナレ:避ける間もなく、それは真悟を直撃する。 ブリジット:シンゴぉ!! 真悟:ぐっ…がはぁっ!!! ブリジット:ちょっと、シンゴ、シンゴぉ!? 真悟:…はは…なんだよ…もうゲームオーバーかよ…。 ナレ:ドラゴンの爪は、真悟の腹を見事に貫通していた。 ブリジット:シンゴ!シンゴっ!!死ぬんじゃないわよ!! 真悟:無茶…言う…なよ…。 ナレ:そう言って、真悟は血まみれになり、地面に倒れる。    ―――――――――――水瀬真悟、死亡……。 ED「さよならソリティア(千葉妙子)」 ナレ:次回予告。 真悟:俺…死んだんじゃ…? ブリジット:そ、あんたは死人よ。 ナレ:夢にまで見たファンタジーの世界に遂にやってきた真悟。    しかし…。 真悟:あのー…つまり俺は? ブリジット:幽霊ね。言うならば。 真悟:何ぃーーーー!!?? ナレ:予想範囲外の展開が次々と真悟を襲う。    次回、幻想御伽噺2幕「君と出会ってスペクタクル」!    お楽しみに。